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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回・弐】小さなこいの唄

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「迦楼羅」
「…なんだ」
「ヤキモチ?」
「ブッ!!;」
迦楼羅が吹き出した
「やっ…ヤキモチ…?;」
「おいちゃんが乾闥婆といると迦楼羅機嫌悪いよ? ヤキモチ?」
「ヤキモチなどやいてないわ!たわけッ!!;」
迦楼羅が怒鳴る
「迦楼羅」
「なんだッ」
「乾闥婆を本当に笑わせられるの迦楼羅だよ」
「…は? 乾闥婆を笑わせられる…?」
くいくいと帽子を直しながら烏倶婆迦が言った
「迦楼羅は乾闥婆の本当の笑顔見たことある?」
「本当の笑顔…?」
迦楼羅の方は見ないで烏倶婆迦が頷く
「おいちゃんの計算によると乾闥婆本当に笑ったことない。笑ってもそれは本当の笑顔じゃない。おいちゃん…乾闥婆の本当の笑顔が見たい」
「…乾闥婆の本当の笑顔…」
迦楼羅が呟いた
「…ワシにそれができるのか?」
「おいちゃんの計算では迦楼羅にしかできないんだ」
「ワシにしか…」
迦楼羅が背にある乾闥婆の部屋の戸を見上げた
無駄に大きい二枚の戸
その向こうにいる乾闥婆
「ねぇ迦楼羅」
「なんだ?」
「おいちゃん乾闥婆が好きだよ。だから本当の笑顔が見たいんだ」
「…そうか…」
戸に手を当てた迦楼羅
「ワシも…見てみたい…」
「おいちゃんわかったんだ。本当の笑顔にする方法。迦楼羅にしかできないんだ」
「…どうしてワシにしかできないのだ?」
迦楼羅が聞く
「ハルミママを本当の笑顔にできるのは竜だった」
烏倶婆迦が迦楼羅を見た
「ハルミママの一番好きな人も竜だった」
「それと乾闥婆の本当の笑顔と…どう繋がるのだ?」
「乾闥婆の…」

ヒュン

迦楼羅の質問に答えかけた烏倶婆迦の声が消えた
と、同時に広がる黒
その黒がだんだんと形を作りやがて無数の柱となった