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出会いは衝撃的に(前半)

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 救急隊員は心配顔で訊いた。
「首と肩と、背中と腰です」
「手が痺れているというようなことは?」
「そうですね、左手が若干そんな感じです」
「病院に着いたら、レントゲンを撮ってもらいましょう」

                *

 通常の診療時間が終了し、中が薄暗くなっている病院に到着して約十分後に、若い医師からの質問にいくつか浅野は答えた。そのあとは、診断書の作成を医師に依頼した。更にそのあとのレントゲン撮影までの待ち時間は、三十分以上だった。
 待たされることを想定し、車から出るときに彼が持って来た文庫本は、推理小説だった。だが、廊下の長椅子に座っての読書は、殆ど不可能だった。点灯されている照明が少ないこともあったが、病院への支払いや、今後のことを考え始めてしまうからでもあった。あの美女ともう一度会えないだろうかとも思った。浅野の友人の一人は、事故の相手と恋愛をしたことがあった。それを思い出すと、浅野は自分もそうなるといいと思った。