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出会いは衝撃的に(前半)

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「気分は最高だね」
「帰りは渋滞よ」
「友達に渋滞が好きだという奴がいる」
「変なひと……浅野さんは?」
「渋滞は大嫌い。この前の客は料金を上げるためにわざと渋滞に突っ込んだだろう、なんて云ってたけど、支払いにしたから料金は通常より安いくらいだって……」
「えっ?支払いって?」
「支払いボタンというのがあって、それを押すとメーターの中にあるタイマーが止まるわけ」
「そうなんだ。信号待ちのとき料金が上がるのよね。一分いくらなの?」
「五十秒で九十円」
「信号待ちがなかったらもっと安い料金になるのね。お腹すいてない?」
「まだ大丈夫。所要時間が百分の場合、そのうちの四十分は信号待ちなんだって」
「そうなのね……」
 信号待ちが美絵と出合わせたのだと、浅野は云おうとしてやめた。示談書に署名捺印し、保険会社に郵送するために、封筒を投函したのが昨日のことだった。それに関しても彼は云うつもりはない。美絵の病院へ最後に行ったのは、ひと月前のことだった。
 高速道路は山間に入っていた。日中は傾斜とカーブが気になるだけだが、その辺りには道路照明がなく、夜間は急な暗さが不安にさせる区間だった。


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