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出会いは衝撃的に(前半)

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「ありがとう……女心と秋の空か……」
「……そうねぇ。もう秋なのね」
「明日も病院は休み?」
「ああ、そうだったわ。連休よ。浅野さんは?」
「今日は明けで、明日明後日は珍しく公休でございますよ」
 首都高は不思議な程空いている。高層ビル群が瞬く間に後方へ去って行った。前方奥に連なる山々が近く見えるのは、空気が澄んでいるからだろうか。
「まだお昼前なのね。どこかいいところに行けそう」
「うん。そんな気がしてきた。思い出に残る誕生日になりそうだ」
「でも、二十七よ。なんだか急に年増になった気分だわ」
「三十路に入ると速いって云うよね」
「Uターンしたいけど……」
「あれっ。二十六じゃなかった?」
「残念ながら、今日からそうじゃなくなったのよね。無意識に嘘ついちゃった」

                 *

 
 右に競馬場、左前方にはビール工場が見えてきた。交通量は極端に少ないので、美絵は更に速度を上げた。丹沢だろうか、手前の山塊の上に雪のない富士もくっきりと蒼く見えている。