出会いは衝撃的に(前半)
「なあに?オチって」
「ちゃんと前を見て運転してください」
道路は空いていたが、浅野はきつい口調だった。交通事故の結果程、理不尽で悲惨なものはない。
「はい。ごめんなさい」
「……その女子高生の部屋に入ると、そこにはもうひとりの女子高生が待っていたんです」
「同級生のふたりの美少女を、油絵で描いたのね?」
「違います。もうひとりのほうだけ描かされたんです」
「……そのひとはなぜ自分の絵がほしかったのかしらねぇ」
「高校時代の思い出としてでしょうね」
「そのひともきれいな子だったのね?」
「……はっきり云って……」
「そうじゃなかったの?」
「ピカソが生きていたら、是非紹介したいと思いました」
「本人が聞いたら怒るわ。わたしのこともそんな風に云ってるんでしょう」
「それは無理です。美絵さんを悪く云うなんて、不可能です」
「どうして?そんなにわたしって怖い?」
「そうじゃないんです。凄い美人だからですよ。日本中を探しても、それどころか世界中を探したって、美絵さん以上にきれいな人は……」
作品名:出会いは衝撃的に(前半) 作家名:マナーモード