出会いは衝撃的に(前半)
「高校も大学も女子だけの学校だったし……」
美絵は笑いながら云った。
「私は勉強が嫌いだったので高卒です。それも工業高校だから、男ばっかりでした。でもね、女子高の生徒たちとグループ交際をしてました」
「わたしはそういうことがこの世の中にあることさえ知らなかったわ。それで、その中で恋人もできたのね?」
「それはなしでした。スケートリンクで手を繋いで、氷の上を滑ったりとかはありましたけどね」
「いいわね。すてきだわ。きれいな子だった?」
「そういう場合もあったし、そうじゃない場合もありました」
「特定のひとりじゃなかったのね」
「一番きれいだったひとの家に呼ばれたことがあってね……」
「わあ、凄い」
「油絵の道具を持って行きました」
「肖像画を描いたのね?『タイタニック』みたい!」
「ところがね、オチがあるんですよ」
映画『タイタニック』では、主人公の青年が船の中でできた恋人のヌードを描いた。しかし、浅野の話はそれとは大きく異なっていた。
作品名:出会いは衝撃的に(前半) 作家名:マナーモード