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出会いは衝撃的に(前半)

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「それは大変でしたね。でも、逢ってからの時間はあっという間に過ぎてしまうのよね」
「だから、早速乗せてもらってもいいでしょうか」
「お食事はしないんですか?」
「ここは目立つ場所だから指定したんです」
「そういうことね。どうぞ」
 浅野はいよいよ美絵の車に乗ることができると思うと、かなりの興奮を覚えた。それは、彼女の部屋に入るのと同じだと思った。高級電動革張りシートに身体が包まれてすぐ、非常になめらかで非常に強烈な加速が、浅野の心を酔わせた。
 そして、強烈に異性を感じさせる美しい女が、限りなく近くで呼吸し、血液をその魅力的な身体に循環させていた。浅野は、触れていなくても彼女の体温を感じ取ることができるような気がした。
 今、彼は至福ということばの内容を理解できそうだと思った。これからの数時間は、更にその理解を深めるために使うことになるに違いない。美人の妻をもらっても三日で飽きてしまうものだと、どこかで耳にしたことがある。だが、それを希んでも実現できない悔しさを、そんなことばでごまかそうとしているのではないだろうか。美絵を見る度に浅野はそう思うのだった。