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出会いは衝撃的に(前半)

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 フロアマットを下にある機械で洗ってから、浅野は駐車場まで車に乗って行った。上空が幾分もやってはいたものの、朝の早い時刻から陽が差し始めて湿度も気温も高くなっている。鬱陶しい空気に包囲されている駐車場の中で汗をかきながら洗車をした浅野は、自転車で社屋に戻ると車のキイを宿直の男に手渡した。そのあと彼は慌ててシャワールームに入った。身体を洗いながら、彼は数時間後に逢うことになっている美絵を想った。

              *

浅野のアパートの近くのファミレスの前に、黒い外車を運転して現れた美絵は、そこに立っている男を見るとひどく嬉しそうな笑みを浮かべた。
「いつから?」
「そうですねぇ、二分十六秒前からお待ちしていました」
 長身の浅野は身をかがめ、美絵の車の中を物色するようにして応えた。彼も笑っていた。
「そんなに長く?待ちくたびれたでしょう」
「死ぬかと思いました。その前に百六十八時間も耐えたんですからね。ロスタイムに入ってからの二分十六秒はきつかった」