出会いは衝撃的に(前半)
現時点で既にそうなのだが、救急車で病院へ搬送されたなら、仕事が長時間中断される。だが、それどころかもう今日の仕事は終わりなのだと、彼は思い直した。そして、事故報告書に、追突をした加害車両の登録ナンバーを記入する。それが済んだとき、車の中で保険会社に連絡している最中の若い美女から呼ばれた。
「衝突の時刻はわかりますか?」
既に暗くなっていたが、腕の時計は午後六時十七分、と読み取れた。
「十八時十三分です」
正確かどうかは判らないのだが、大体そのくらいだと思った。次いで、浅野は勤め先に電話で連絡した。
「外車に追突されましたが、お互いの車は大丈夫だと思います」
「警察は呼んだ?」と、高齢者の宿直の男が尋いたので、即座に通報したことを伝えた。
「報告書に相手のナンバーを書いてね」
「はい。ナンバーはもう記入しました」
「相手の名前と保険会社名も書いてください」
「はい」
後続の何台かの車の運転者が、前に進みたくてクラクションを鳴らしている。浅野は若い女性に声をかけてから自分の車に戻った。
作品名:出会いは衝撃的に(前半) 作家名:マナーモード