出会いは衝撃的に(前半)
道路はすいている。渋谷の出口が間もなくなので左車線に移ろうとすると、
「急いでんだから右車線右車線!」
「渋谷の次は霞ヶ関ですけど」
「バカ野郎!高樹町で降りないと間に合わねえ」
「高樹町には入口しかありません」
そう云っているうちに渋谷の出口を通過した。
「高樹町で降りろって云ってんじゃねえかよ!」
「次は霞ヶ関です」
「どうすんだよぅ!兄貴になんて云やいいんだ!」
「おい!オメエが兄貴に謝れよ!」
「……」
気が弱い浅野の手足が、先ほどから小刻みに震えている。
「テメ、俺らをなめてんな?」
霞ヶ関で首都高から出た。ユーターンをして六本木通りを「兄貴」が待っているという西麻布の交差点へ向かった。その間にも散々毒づかれた。
漸く西麻布の交差点に到着すると、浅野はメーターの料金を云った。
「あれ?あんたのせいで俺たちは兄貴からの制裁を受けるんだぜ。兄貴の前で土下座したら、金払ってやらぁ」
「……」
作品名:出会いは衝撃的に(前半) 作家名:マナーモード