出会いは衝撃的に(前半)
三軒茶屋のことである。
「急げよ」
「はい。わかりました」
重ねて念を押した助手席の男は弟分ということらしい。こちらは痩せていて、幾らかまともそうな雰囲気。後部座席の男は女二人と交互にキスをしている気配だ。ああん、こんなとこで入れないで!などという女の声。最悪の乗客であることは間違いない。全員が酒に酔っている。
「三茶行ったら戻ってもらうぜ」
助手席の男がそう云うと、兄貴分も同じことを云った。
*
「高速高速!ユーターンして三茶から高速!」
女たちを下ろして間もなく、前と後ろで騒いだ。
「急げ!兄貴が待ってるんだ!遅れるとこっぴどい目に遭うんだからよぅ」
「責任とってもらうぜ」
作品名:出会いは衝撃的に(前半) 作家名:マナーモード