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出会いは衝撃的に(前半)

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クラスの中の代表的な「イケメン」と云えば、誰でも彼を思い出したものだった。彼の不人気の原因は、いつも無愛想で生意気だったからなのだが、本人はそれに気付いていないらしかった。
「おい、浅野。お前食堂から帰って来るとき、割箸持ってきてくれ」
 ある日の昼休みに、そう頼まれたことがあった。平原はいつも母親に手作りの豪華な弁当を持たされて登校していた。その日、彼は箸を忘れたようだった。浅野は返事をすることもなく食堂へ向かい、安くて旨くないうどんを食べ、校舎の裏で仲間と共に談笑しながら、ゆっくりと煙草を吸って教室へ戻った。
「何だよ。箸を持ってきてくれなかったのかよ」
「えっ?そんなこと頼まれた?」
 そのとき、午後の授業が始まることを報らせるチャイムが鳴り渡った。浅野は、ほかの同級生たちからの要望もあったので、わざと平原の頼みを無視したのだった。
 平原への反感は、彼が裕福な家の息子だったことと無関係ではなかった。浅野も親に弁当を作ってもらいたいと、思ったこともある。だが、貧しい彼の家ではそんな余裕はなかった。彼の母は早朝から仕事に出ていたのだった。