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出会いは衝撃的に(前半)

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「村田さん。今、あなたとデートをしている夢を見ていました。今度の日曜日、逢ってもらえませんか」
「わたしもあなたに誘われたくて電話したの。日曜日のお昼に車で迎えに行きます」
 そのとき、助手席の窓を叩かれた。浅野は慌ててシートと共に身体を起こした。そこには実物の村田美絵が立っていた。彼女からの電話は、夢の中でのことなのだと、浅野は漸く理解した。どうりで電話の話がおかしかったのだと、浅野は苦笑しながら左後方のドアを開けた。
「起こしてしまってごめんなさい。わたし、この近くに住んでいて、偶然浅野さんのお車を発見しました。実は、これから行きたいところがあるんです」
 美絵は身を屈めてそう云った。買い物を済ませてきたらしく、彼女は手ぶらではない。
「今日はお休みですか。今は日曜日の夕方なんでしたね」
 浅野は首に痛みを感じながら後方に向かって云う。
「そこのスーパーで買い物をしたので、買ったワインとかを持って、友達の誕生パーティーに、タクシーでその子のところへ行きたいので……」
 美絵はしどろもどろだった。浅野はまだ夢が続いていると思った。
「それはありがたいことです。どうぞ、遠慮なく乗ってください……後部座席もシートベルトをお願いします」
 浅野は心が浮き浮きしている。すぐに自分もシートベルトを装着し、ドアを閉めて走りだした。そのあとで目的地を訊いた。トンネルの中なので声を張り上げた。