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出会いは衝撃的に(前半)

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更なる衝撃


                 

 その後、浅野は週に一度か二度、病院に通った。美絵がマッサージをしてくれたのは最初だけだった。視線が合うといつも彼女は笑顔を見せて会釈してくれるのだが、それだけのことだった。浅野は物足りない気持ちだったが、これが現実だと、諦めることにした。
 首と肩と背中、そして腰の痛みは、日によってその度合いが変化した。病院からの帰りに、返って辛くなることもあった。仕事が終わる朝方の洗車中に、かなり辛い想いをすることもある。
 休憩中に車の中で眠れないことが多いのは、身体の痛みのせいだった。確かに不景気のせいで乗客の数は激減したが、時間帯によっては二時間程度空車表示になることが殆どない状態で走り回ることもある。そんなときは疲労が蓄積して眠気を感じることもある。
 高速道路の下の暗い場所に車を停止させてリクライニングを倒し、携帯電話のアラームをセットして十分ほど経ったとき、けたたましい音楽が鳴り出して浅野は眼を覚ましたようだった。それはアラームではなく、着信したことを報らせていた。女性の声が浅野の名を呼んだ。
「はい。浅野ですが、どちらさまでしょうか」
「村田です。お判りになるかしら。村田美絵ですけど」
 そのとき、浅野は追突の際の衝撃に近いものに打たれた。事故に遭ってから三箇月が過ぎ、首の周辺の痛みは相変わらずだが、風化した筈の事故の記憶が唐突に蘇ったような印象だった。そして、やはり風化しつつあった筈の美絵への想いも再び燃え上がった。