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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ツイン’ズ・アナザー-魔法使いになったら-

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 だって、魔法使いですよ。魔法が使えるようになっちゃったんですよ。
「どうしよう、どうしたらいいの!? 大金持ちとかも魔法でなれるのかな?」
 魔法ならなんでもできるかもしれません、けど、大金持ちっていうのは叶えようとしませんでした。
 あたしって結構小心者で、もし、本当になんでも叶っちゃったら……って考えると、恐くなります。だから、魔法を使わないことに決めました。
 実際、なんでもできるようになると、恐くて何もできませんでした。でも、本当はちょっとだけ大金持ちになろうとも考えましたよ。
「使わない、使わない、使わない」
 念仏でも唱えるようにあたしは自分に言い聞かせます。魔法使いなんてなるんじゃなかったって本気で思いました。厄介なことになっちゃいましたよね。
 でも、本当に魔法使いになってしまったのか半信半疑、でも、魔法を使うのは自分的に禁止したので魔法は使いません。それに魔法があんなに簡単に使えるなんて、魔法を使うごとに寿命が減ったり、デメリットがあると嫌なので絶対使わないと再度自分の心に確認です。
 地球爆発を魔法で叶えたら、わたしにどんな不幸が起こるのかと考えるとぞっとします。って地球が爆発したらあたしも死にますね。そーか、魔法でどうにかすれば死なないかも知れませんね。
 時計を見ると、だいぶ時間が過ぎてました。ヤバイです、遅刻ですよ。今まで遅刻したことなかったのに。
 学校まで歩いて15分。学校が始まるまで10分。走れば間に合いますけど、体力の自信のなさなら人に誇れますよ。そんなこと誇りになりませんね、ごめんなさい。
 部屋を飛び出し、家も飛び出すあたし。命をかけて走りましたよ。体育の時間だってこんなに真剣に走ったことはありません。
 ぜ〜は〜、ぜ〜は〜、肩で息をしながら必死であたしは走りました。そして、どうにか学校について、チャイムと同時に自分の席に着席。バタンとそのまま机に突っ伏しました。
「死ぬぅ〜」
 このときのあたし、絶対死相を浮かべてました。
 わたしの横から誰かが声をかけているようです。意識が朦朧としていて誰かわかりません。
「な……さん、だいじょ……」
 あたしは声のする方向を死にそうな顔で見上げました。そしてら、そこにはあの人がいたんです!
「那々美、大丈夫か?」
 なんとあたしに声をかけていたのは、鳴海愛[ナルミマナ]さま。あたしの好きな人です。しかも、実は女性なんですよね。
 あの、あたしはノーマルですよ。でも、愛さまだけは別格なんです。美人だし、かっこいいし、生徒会長もしてるんですよ。
 この愛さまは、うちの学校の女子生徒の憧れの的なんです。毎年女子生徒からたくさんのチョコをもらっているし、普段から『きゃ〜、愛さま〜っ!』って言われてますし。
 あたしも愛さまみたいにならたらなぁ〜って思います。でも、魔法はダメです。
 愛さまっていつもゴスロリで学校に来るんです。いちようこの学校って制服あるんですけど、愛さまは着なくてもいいみたいです。それというのも愛さまのご実家ってちょ〜お金持ちで、愛さまの後ろには大きな力がいつも渦巻いてるんですよね。
「那々美、大丈夫か? 保健室に私が運んでやってもいいぞ」
 愛さまの口調って、男性口調なんですけど、そこがまた痺れるんですよね。ハスキーな声で、文化祭では歌も歌ったんですけど、それがまたよくって、もう、あたしは愛さまのトリコです。愛さまにだったら、この身を捧げてもいいです。ってちょっとあたしバカですかね?
「愛さま、あたしなら大丈夫ですから心配しないでください。あ、先生も来たみたいですし、愛さまも席についた方がいいんじゃないですか?」
「ああ、そうしよう」
 はあ、ラッキーです。愛さまと朝からしゃべれるなんて、恍惚に浸ってしまいます。
 白衣を着たナイスバディな女の人が教室に入って来ました。この人、うちの担任の玉藻妖狐[タマモヨウコ]先生です。かなり変わってます。
 変わり者の多いこの学校ですが、玉藻先生はかなり変わってます。だって、学校を吹っ飛ばして消滅させたんですよ。……噂ですけど。
 去年の12月、朝学校に行ったら、学校が消失してるんです。あのときは本当に驚きました。どうやら玉藻先生が実験に失敗して学校を吹っ飛ばしたらしいんですけど、本当のところはわかりません。
 玉藻先生は科学教師なんですけど、自分では?可学?教師って言っていて、その可学っていうのは何でも可能にする学問だそうです。その可学の実験をするために、学校のどこかに秘密の研究所をつくって、日夜生徒相手に怪しげ実験に耽っているそうです。
 モデル歩きで教壇に立った玉藻先生の胸がたわわに揺れました。無駄に豊満な胸ですが、あたしもちょっとくらい分けて欲しいですね。
「みんなぁ〜ん、おはよう。今日も元気に適当にがんばりましょうねぇん」
 毎朝毎朝、玉藻先生の適当なあいさつひとことで朝のホームルームは終わるんですけど、今日はもう少し話が続きました。
「みなさんもご存知、今日はなんとバレンタインでしょ? だからあたしはみんなのためにあるものを作ったんだけど、いるかしらぁん?」
 玉藻先生は白衣のポケットから綺麗にラッピングされた何かを取り出して、高らかに言いました。
「じゃじゃ〜ん、これはなんと食べた相手が自分のことを好きになってしまうチョコレートよぉん。今日はなんとこれを限定20個、定価消費税込みで一万円であなたたちにご奉仕するわよぉん。欲しい人はあとで職員室に買いに来るように、以上」
 学校で商売するなんて、あり得ない。こんなことを思う前に普通なら、あんなチョコレートこの世にあるわけがないと思うのが普通かもしれないけど、玉藻先生なら作れちゃうんだよね。……あっ、そう考えると、あたしの魔法もそんなにすごくないことに感じてきたな。玉藻先生の可学より、あたしの魔法の方が現実的かも。
 あ、ちなみに、玉藻先生の作ったチョコレートは玉藻先生が職員室に戻ってから5分で売り切れたそうです。しかも、限定20個って言ってたのに、実際は50個あったみたいですよ。
 朝のホームルームも終わり、すぐに一時間目がはじまります。1時間目って朝のホームルームが終わってから5分で始まるんですよ、短いですよね。普通の授業の間は10分休みが入るんですけど、1時間目の前は5分。しかも、今日の1時間目は体育。
 5分でどうやって着替えろって言うんでしょうか? でも、文句を言ってないで着替えないと授業に遅刻します。
 ここである重大な事実に気がつきました。なんと、体操着を忘れてしまったんです。しかも、バッグも忘れてます。
 かなり迷いました、魔法を使うか。でも、使っちゃいました。このくらいなら大目に見てもいいですよね。
 誰も見てないうちにバッグをあたしの部屋から教室の床に瞬間移動させました。近くに結構人がいたのでドキドキしましたが、どうにかなりました。でも、あとで考えると誰もいないところに行って、魔法で体操着に着替えれば済みましたよね。あたしってバカですね。