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海野ごはん
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novelistID. 29750
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つがい

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 同窓会は大賑わいだった。担任の先生はおじいちゃんになっていた。
女友達も男友達もみんな、変わらない様で変わっていた。
なんとなく面影はあるのだが、どうしてもギャップがおかしい。
タイムマシーンに乗って未来に来たようだ。そういう私も老けているのだが。
 龍一は大きな声を出して、テキパキと進行を進めていた。
時折、手招きで私を呼ぶと「あれを持ってきて」とか「これはどうなった?」とかまるで秘書扱いで私をこき使った。
でも、みんなの笑い顔の中で大きな仕事を終えたと思ったら、最後の解散式の時、泣けてきた。なんだか、またみんな明日からいなくなるんだと思ったら、少しだけ悲しくなった。
どうも中年になると涙腺が緩み易いらしい。



 2次会も3次会も最後まで龍一と一緒だった。
そして、みんなが帰り龍一と二人きりになった。
「お疲れさん。やっと終わった。美香がいてくれて助かったよ」酔った龍一が言ってくれた。
「うん、大変だったけどおもしろかった。よかったね」
「みんな老けてたなぁ~。俺はどうだった、その中で?」
「な~に、かっこいいと言って欲しいの?」
「つい、比べてしまうんだよなぁ~。俺はおまえよりまだまだ若いぞって・・」
「口には出さないけど、そんな張り合いしてたんだ?」
「俺だって頭薄いのに、ナニ威張ってんだか。でも男同士はどこかで張り合って生きてるんだ」
龍一は先程までの余韻に浸るかのようにニヤニヤしていた。
競争社会という現実に生きている男達はいつも張り合って生きてるんだろう。そして勝ち負けを気にして頭が薄くなる・・・。

 女性同士もどこかそうかもしれない。
同窓会というのは、今まで生きてきてどれだけ幸せだったかを見せびらかし合い、自分の位置を確認する、ある意味どぎつい会なのかもしれないのだ。

作品名:つがい 作家名:海野ごはん