母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~
私が薬を飲んで眠った翌朝、父はいくら呼んでも返事もなく、起きても来ない私を心配して二階に上がって来たらしい。そしてドアの外から声を掛けても返事がないことをおかしいと思い、引き戸を開けようとして、あっ! と思った。開かないのだ。当然ながら私は、少しでも発見を遅らせるために、中からつっかえ棒をしておいたのだ。父は必死になって戸をどけた。そしてベッドで眠る私の傍らに、剃刀や薬の瓶が転がっているのを見て驚き、慌てて救急車を呼んだらしい。
病院に運ばれた私はすぐさま胃洗浄をされ、命だけは取り留めたが、私が目を覚ましたのは、それから一週間近くも経ってからだった。かなりの量を飲んでいたので、なかなか目が覚めなかったようだ。父はやはりかなり心配したらしいが、私が意識を取り戻してからも何も言わなかったし、私が死のうとした動機や理由についてすら、何も尋ねようともしなかった。あるいは父なりに解釈していたのかも知れないし、もしかしたらその責任を感じていたのかも知れない。
病院のベッドで、意識が戻らないまま眠っている時、私は夢を見た。逢いたかった拓斗に逢えたのだ。嬉しかった。それなのに、死ねなかった。心の中には悲しさしかなかった。
少しして、ちょうど意識が微かに戻ったその日、母が面会に来てくれたようだった。私が自殺未遂をしたことを一体誰から聞いたのか? もしかしたら、私の親友が連絡してくれたのかもしれないが、その時の私はまだ意識が朦朧としている状態で、父と母が話してるのをぼんやりと見た。そして父が会わせないと言っている言葉を、薄っすらと聞いた。せっかく来てくれた母は、どんな思いで私に会えずに帰って行ったのだろう。
作品名:母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ 作家名:ゆうか♪