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帯に短し、襷に流し

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正月早々、格、かく、カク--コートの格--



 コートは、「羽織のすすめ」でも触れたが、塵除けであり、あえて『格付け』をするなら、それは羽織よりも格下である。理由は、既にあげてあるが、縫い目が見えることにある。
 そのコートは、衿のバリエーションが豊かなのが特徴で、お好きな方は自らデザインした衿をつけている方もいらっしゃる。なかなかどうして、洋裁の要素てんこ盛りではあるが、素敵な感じでうらやましい限りだ。ミシンと相性がよくて、デザインの才能があれば、自分も仲間入り出来ただろうか。と、考えて、ふっと笑ってしまった。もとより面倒くさがりの自分がやるわけはないか。

 コートにも、知られていない格付けがある。
 道行、千代田、都の各襟に代表される「はめ込み衿」が、へちま衿、被布衿が代表的な「折り衿」よりも、格が上である。
 はめ込み衿は、衿付けの縫い目の部分が割ってあるが、折り衿は、身頃と身頃の間に挟みこんである。当然、はめ込みのほうが手間がかかり、塵もすとんと落ちる。ちょっとした式典、特に入学・卒業式、少し格式ばったパーティには、道行がいいと思う。

 では、道中着はどうだろうか。
 道中着は、羽織やコートとは別格である。羽織にあるマチがつかず、コートにある立て衿がつかない。衿は、三寸の衿を着物のように天で半分に折って、裾に行くにつれ、自然に開くように着る。縫い目は割る。ことに「格」を言うなら、コートのさらに下に位置づけられる。
 縫いに対して、羽織からもコートからも、省略された形になっているからである。
 つまり、普段着の上着なのだ。
 よって、近所のスーパーごときに着ていくにはいいが、お友達とお茶とか御呼ばれに着ていくには役不足である。ちょっと見た目、作務衣に見えないこともない。引っ張りと勘違いすることもある。

 しかし、「呉服屋に勤めていました」という人は、どうしてこう、胡散臭いんだろう。
 ワタクシの師匠も大概だったが、最近の「流行」というものを知らなかっただけなのだろうかと、20年前を思い起こしてみたりする。


 あけまして、おめでとうございます。
 今年も、よき、着物ライフをすごせますよう、お祈り申し上げます。


 2013.1.05 松の内 
 2013.1.20 道中着について、訂正
作品名:帯に短し、襷に流し 作家名:紅絹