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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回】星が丘

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ピルルルル…ピルルルル…
ガチャ
「はい中島…京助?」
電子音と中島の声にうっすらと目を開けたヨシコ
「いやもう晩飯作ってるしいいや。サンキュ」
目を擦って体を起こすと窓から少し薄暗くなった外が見えた
「起きたんか」
「ゆーちゃん…」
「ゆーちゃんやめろ;」
まだぼーっとしているヨシコに中島がため息をつきながら言う
「いい匂い…」
「腹減ってんのか?」
ふわんと部屋に漂う匂いにヨシコが呟く
「腹…」
「…味の保証はしねぇけど…こいよ」
歩き出した中島にヨシコがついていく
「座れよ」
テーブルの上に並んだ二人分の晩飯
「これ…」
「適当に作った食うなら食え」
中島が湯気のたつご飯をヨシコの前に置いた
「いいの?」
「ああ」
恐る恐るヨシコが椅子に座ると中島も腰かけた

電話を置いた京助が玄関へと向かう背中を見つけたのはコマとイヌ
「もうすぐ晩飯なのにどこいくんだやな?」
「あー…なんかヨシコが行方不明なんだとさ」
「それは大変なんだやな」
「まぁがんばるんだやな」
「待てぃ」
京助の横を素通りして茶の間に入ろうとしたコマとイヌの尻尾を京助がわしっと掴んだ
「一緒に探すんだやな!! の一言でも言えんのか犬」
「言えるなら言ってるんだやな」
「そうなんだやな」
「ほーぅ…じゃぁ何で言えないのか理由はなんだね」
ぶーたれる二匹に京助が笑顔で聞く
「腹減ってるんだやな」
「ハラヘリなんだなや」
「さー行くぞ探しに行くぞいざ行くぞ」
きっぱり言い切った二匹の尻尾を掴んだまま京助が玄関に向かった
「嫌なんだやなぁぁぁー!!」
「晩飯食うんだなやぁああああー!!」
「やかましいっ!!」
ジタバタ暴れる二匹をつれて京助が家を出た


「…おいしい? ゆーちゃんこれ何? おいしいわ」
「…豆腐ハンバーグ」
「豆腐…」
おいしいを連呼するヨシコに中島が少し照れながら答えた
「緊那羅には負けるだろーけどな」
「ううん私はおいしいと思うわ。そうよおいしいもの」
「…そりゃどうも」
しゃくしゃくとレタスを食べる中島
「私にはできないわ…私は何も知らないしできないわ…」
ヨシコがうつむいた
「私は何も知らない…ご飯の作り方も今何が起こっているのかも…向こうのこともこっちのことも…」
「ヨシコ…?」
箸を持ったままうつむくヨシコに中島が声をかけた
「私がどうして【吉祥】なのかも…何も知らないの…」
だんだんと小さくなっていったヨシコの声