【無幻真天楼第二部・第二回】星が丘
「来てないみたいだっちゃ」
緊那羅の一言で床に膝をついて頭を抱え込んだ阿修羅の肩を慧光がさすった
「わ…私も探すナリよ;」
「仕方ないからおいちゃんも探す」
ヨシコがいなくなってまぁこっちにいるだろうと思いやってきたが的が外れた阿修羅
「あんがとさんー…;」
のらりくらりと立ち上がりため息をつく
「でも…ここにいないならどこにいったんだっちゃ…?」
「前にもあっただろ…; ほら祭りん時だかに」
「あ…;」
「ヨシコの方向音痴は半端ないんきになー…;まぁあんまり遠くにはいかん思うけどのー…なんにしろ早く見つけんとの」
過去にヨシコが一人でこっちにきた時、丸一日迷っていたことを思い出した緊那羅が苦笑いをした
「あれ? 阿修羅?」
着替えて部屋から出てきた京助が阿修羅に声をかける
「なしたよ死にそうな顔して」
「ヨシコがいなくなったんだっちゃ」
「またか;」
「またなんよなー…;」
遠い目で言った阿修羅
「てっきりここにいると思ったんきになー…しっかり方向音痴っぷり発揮しとんだよなー…;」
「いねぇのか?」
「私はみてないっちゃ」
「おいちゃんも」
「私も見てないナリ」
京助が聞くと三人が揃って同じ返答をした
「つーことで探してくる…;」
「あー…じゃぁ俺も中島に電話したら手伝うわ」
「中島に?」
緊那羅が聞く
「今日一人みたいだから泊まりにくるかって聞こうかと思ってさ」
「そうなんだっちゃ?」
「そうなんだっちゃ」
緊那羅の真似をして答えだ京助が電話のある茶の間に向かった
「いってくるね緊那羅」
「あうんいってらっしゃいだっちや」
靴を履いた烏倶婆迦が言うと緊那羅が手を振って見送った
作品名:【無幻真天楼第二部・第二回】星が丘 作家名:島原あゆむ