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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回】星が丘

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「んじゃな中島ー」
「おー」
最初に京助と別れ、次に坂田と別れ最後に南と別れた中島買い物袋を手に自宅への帰路を歩く
ガサガサと鳴る袋
十字路の道を左に曲がったところで中島の足が止まった
なんとなく見たことのあるような後ろ姿
今の時期にはちょっと肌寒いと思われる服はたぶん…
「…ヨシ??」
「きゃあっ!!;」
声をかけると悲鳴が上がった
振り返った顔は間違いなくヨシコ
「何してんだ…しかもそれミカ姉のだよな? 服」
「ゆ…ゆーちゃん…?」
いつものあの摩訶不思議服ではなく中島の姉の蜜柑が過去に貸した服を着たヨシコが驚いたでもほっとしたような顔をした
「京助んとこに来たんだろ? 何でこんなとこにいんだ? また迷子か?」
「迷子じゃないわ!! そうよ迷ってたんじゃないものっ!! ゆーちゃんこそどうしてこんなところにいるのよっ!!」
「だってここ俺ん家だし」
中島が家を指差す
「ゆーちゃんの…?」
「一回来ただろ…京助と」
キィと門を開けた中島
「ちょっと待ってろこれ置いたら京助ん家連れていってやるから」
「くしゅっ;」
ガチャガチャと鍵を開けた中島が戸を開けるとヨシコがくしゃみをした
「…入るか?」
「いいの…?」
「まぁ入りたかったら」
戸を開けっぱなしで中島が靴を脱ぐと奥へ歩いていく
ヨシコが恐る恐る玄関に足を踏み入れると戸を閉めた
脱ぎ捨てられた中島の靴の隣で靴を脱いだヨシコが恐る恐る廊下を歩く
栄野家とは違う間取り
違う臭い
「こっち」
レースの暖簾を捲って中島がヨシコを呼んだ
「これでも飲んでろ。着替えたら送ってってやっから」
「あ…ありがと…う」
ソファーの向こうにあるテーブルに置かれたコップにはオレンジジュースが入っている
トントンと階段を上がる音が遠ざかりガチャ、バタンという戸の開閉音が聞こえた
ヨシコがゆっくりとソファーに腰掛けぐるりと辺りを見渡す
栄野家では見なかったものが沢山あった
「私…知らないことばっかりだわ…天のことも空のこともこっちのことも…」
呟いたヨシコがソファーに置いてあったクッションに頭を着ける

吉祥として宮に来て
皆に会って
「でも私みんなとは違うのよね…」
たぶん今回何があったのか知らないのは自分だけ
そう考えるとムカつくを通り越して悲しくなる
ヨシコがクッションに顔を埋めた