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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回】星が丘

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石段にうずくまって京助を待つ緊那羅の足首に何かが触れた
「まだ京助こないあるか?」
「緊那羅まだここにいるあるか?」
体を起こした緊那羅の膝の上に飛び乗ってきたのは阿と分
「うん…」
緊那羅が両方に同じ返事をした
「京助くるまで私は…」
「ならば我らも一緒に待つある」
ととっと阿が緊那羅の肩に登る
「寒くないっちゃ?」
「我らは毛あるある」
分も同じく肩に登った
「…あったかいっちゃ」
緊那羅が微笑むと阿分の耳がピンッと立った
「足音聞こえるある」
「え…?」
「近づいてくるある」
緊那羅が石段の下を見て立ち上がる
矜羯羅から借りた羽衣が風に靡く
「京助…?」

石段を一段降りた緊那羅が目を凝らして石段の下を見た
静かな波の音
虫の声
もう一段降りてみる
もう一段
もう一段
やがて緊那羅は石段を駆け降りて下まで来ていた
「京助…だっちゃ…?」
「わからねぇある」
「何か話してるあるが…」
阿と分の耳がぴくんと動く
緊那羅が一歩足を進めた



栄野家の茶の間で茶をすすっていた阿修羅が顔をあげると竜之助が立っていた
「飯食うか」
「いやいらんきに」
「そうか」
竜之助が阿修羅の向かいに座る
「吉祥が行方不明か…」
「ああ」
「…思い出すな…あいつもよく宮を出て…」
「…そうやんな…」
二人が思い出しているのはおそらく【前】の吉祥
「…なぁ竜…あいつは…」
「なんだ?」
言いかけた阿修羅が首を振った
「いや…なんでもないんきに。すまんな」
阿修羅があぐらをかいていた足を崩す
「ヨシコには…あいつと同じようには…」
「ああ…そうだな…」

ガラッ

「あら竜之助いたの」
襖がいきなり開いて母ハルミがお盆を手に入ってきた
「はい阿修羅くん」
「や、どうもさん」
お盆に乗っていたのは今晩の晩飯
「遅いわねぇ京助…」
母ハルミが時計を見れば午後八時を少し過ぎていた
「ハッハッハ」
「探しに行くとかしなさいよまったく…っ」
母ハルミが竜之助の頬を引っ張る
「すまんきになー;京助腹減ってんだろな。オライまで食っちまって…」
「あらいいのよ。あの子が自分でしたかったからしたんだから。阿修羅くんが悪いわけじゃないでしょ?ただ私はこいつがね…う ご か な い ってのに腹がたってるの よッ!!」
「痛いぞハルミ」
母ハルミが竜之助の脇腹をつねりながら言った