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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第二部・第二回】星が丘

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「ここにいるんか?」
コマイヌが足を止めた家を京助が見上げた
「今日ここん家はサンマなんだやなー…うまそうなんだやなー…」
「…お前な…; いつからヨシコはサンマになったんだ;」
「こっちの家から焼き肉の匂いするんだやなー!! あっちからは…」
「ま じ め に さ が し や が れ 」
京助が尻尾をはためかせヨダレをたらす二匹の尻尾を掴んだ
「ハラヘリでそれどころじゃないんだやな」
「そうなんだなやハラヘリでヨシコの匂いより食い物の匂いについついつられてしまうんだやな」
「威張るな; 俺だって腹減ってんだよッ;」
ぺいっと尻尾を放した
「じゃぁどうして探しにきたんだやな?」
「どうして…って…」
数歩歩いた京助が足を止めるとコマとイヌが京助を見上げる
「腹減ってんなら晩飯食ってから探しにきてもよかったんだやな」
「どうして食う前にきたんだなや」
「んな…の…」
しばらく黙っていた京助が歩き出すとコマとイヌも歩き出した
「…わからん!! ただなんつーか…嫌なんだよ」
「何がだやな?」
聞いたイヌを京助が見る
「誰かがいないっていうの…」
答えたあと京助がどことなく寂しげに微笑んだ


「そんなに気になるなら一緒に行けばよかったのに」
さっきから玄関の方を見てばかりの緊那羅に矜羯羅が声をかけた
「…うん…行きたかったっちゃ」
苦笑いで緊那羅が返す
「でも私…京助と一緒にいると変なんだっちゃ」
「変?」
「京助といると楽しいし嬉しいし…何か暖かくなるんだっちゃ。でも…京助が誰かといると何だか…何だかもやもやって…」
緊那羅が壁に頭をつけてため息をついた
「いつから?」
「わからないんだっちゃ…いつの間にか…。…私ちょっと外にいるっちゃ」
壁から頭をはなした緊那羅が玄関に降りた
「…緊那羅」
「えっ…わっ;」
「貸してあげる…寒いの苦手なんでしょ」
矜羯羅が羽衣を緊那羅にむかい放り投げた
「ありがとだっちゃ」
羽衣を受け取った緊那羅が笑顔で玄関を出ていく
「やっぱり…皆変わってきてるんだね…」
緊那羅が開けた戸から流れ込んできた風が矜羯羅の髪を撫でた