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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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うこん桜の香り

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いくら考え直しても、今の百合は稔を許す気にはなれなかった。波子の保険金が手に入ると、稔は人が変ったように、株の信用取引に手を出した。上手くいかなくなると、商品相場にも手を出したのである。損が重なると、勤めている銀行の客の金に手をつけたのである。
百合がそのことに気がついたときには1000万円ほどの金であった。
監査でそのことが解り、波子の保険金で清算したが、銀行は首になった。
稔は、競艇、競馬、競輪とギャンブル三昧であった。百合は自分がいなくなれば仕事に就いてくれるだろうと、別居を決めた。離婚も考えたが、波子に申し訳が出来ない気持ちであった。
百合が死のうと思ったのは、2度目である。最初は、看護婦になって2年目の事、担当の患者が病室で自殺したのである。
当直の当番は2人いたが、1人は百合に頼みこんで外出していたのである。
作品名:うこん桜の香り 作家名:吉葉ひろし