うこん桜の香り
稔は波子の脇に腰を下ろした。
「波子パパのこと、ママから聞いてるだろう」
「何の事」
「波子はパパの子じゃないって」
「嘘でしょう」
「いいんだよ隠さなくて」
「知らないよ、そんな話」
「じゃ、証拠を見せてやる」
稔は波子の髪の毛をつかむと、そのまま砂の上に波子を倒した。波子の顔に稔の顔が近づいた。
波子は持っていたコーラーの缶で稔の顔を叩いた。コーラーが稔の顔に降りかかった。
稔は我に返った。波子の体から離れた。
波子は泣きながら走って行った。
稔は波子を追う気にはならなかった。