うこん桜の香り
波子はいつものように登校した。
その日に川田先生から手紙を貰った。読むとそれをコーヒーの瓶に入れ、うこん桜の幹に入れた。庭掃除の時に幹に穴のあいていることを知っていたのである。
それ以来、波子も川田先生も余り口を利かないようになった。
波子は手紙の言葉が気になったが聞き出すことはしなかった。
相変わらず川田先生は女子生徒にもてていた。それを見ると自分も近づきたいと思うが、可愛いパンダがいつ獣になるのかと心の奥には、恐怖心があった。
そのまま夏休みに入ったのである。
波子は絵を描くため佐渡に行こうと決めた。
佐渡は川田先生の生まれた所であった。