うこん桜の香り
蓋を開け、紙を取りだした。
君の白い肌は綺麗だったよ。僕にはとても君の肌の色は出せなかった。だから、君を肌で感じたかった。許してくれなんて言いたくない。せめて、うこん桜の花が咲くまで待っていて欲しい。君の絵には洋服を着せたから安心していいよ。
誰が誰のために書いたのか?
百合はこの恋文をバッグに入れた。そしてすぐに、西山に電話を入れた。
「多分、美術の先生が波子さんに書いたのだと思うよ」
「私もそう感じたわ」
「結婚している先生は、波子さんが邪魔になったのかな」
「波子妊娠してたかも」
「それだといよいよ、先生怪しいよ。先生の文字が欲しいな」
「後で頂きに行くわ」