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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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うこん桜の香り

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ビール2杯を呑んだ所で
「この部屋は使って下さい、自分は別に取りましたから」
と男は言った。
百合は男西山明を信用した。死ぬ前に話をしてみる気持ちになった。アルコールがそうさせてくれたのかも知れない。
波子の自殺や夫と別居していることを話した。
「なぜお嬢さんは佐渡に来たのでしょう」
「夏休みの絵の課題のためです」
「その課題とは?」
「確か海の見える風景です」
「栃木には海が無いからな」
「もっと近くにあるのに」
西山は佐渡に来たわけを知りたがっていた。
百合にもそんなことは解らないのである。
「今晩宜しかったら海辺を歩いてみませんか」
西山が百合を誘った。
作品名:うこん桜の香り 作家名:吉葉ひろし