「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十四話
典子の夫仁志が運転するワンボックスのレンタカーに乗り込んで8人は紅葉が始まっているだろう高山を目指して走り出した。
映子は彼を正直に「彼」だとみんなに紹介した。前もって典子たちのパートナーは聞かされていたから何のこだわりも無く受け入れてくれた。
子供の頃からの話が出たり、初恋の話が出たり、高山市に着くまで話が尽きなかった。
昼食を終えて高山市から国道を走り平湯峠を越えた辺りから景色が一変した。素晴らしい紅葉の絵模様が車窓から飛び込んできた。
「すごい!こんな光景見たこと無い」
みんなは口々にそう声を発した。
赤と黄色とみどりが入り混じった山肌の色彩はここが日本であることを忘れさせてしまう。カナダやヨーロッパの写真で見たような風景に感じられるからだ。
158号線から県道に入って目的の温泉宿に着いた。
無色透明の湯はかすかに硫黄のにおいがする。入浴すると柔らかい湯が肌をぬるぬるにして温泉の効果を感じさせてくれる。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二十四話 作家名:てっしゅう