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海野ごはん
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7月7日 銀河の恋の物語

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夏空が残る夕方の銀座は人ごみで溢れていた。
週末の夜なのか東京の人口が多いのか、待ち合わせのお店はほぼ満席だった。この店は彼女が指定してきた。結婚する前、東京に住んでてデートする時はここがいつもの待ち合わせ場所だったということだ。
おかしいことにここには今の旦那と一度も来なかったらしい。昔の若かりし頃のあの頃を思い出して、ここで会おうということになった。バブル時代の名残りなのか店は豪華な造りになってはいたがメニューは庶民的だった。ふ~ん、ここで彼女はその昔、もてていたんだ・・・そんな事を気にしながら僕は白いテーブルクロスがかけられた丸いテーブルで彼女を待った。

「こんにちは・・・」にっこり笑いながら近づいてくる婦人がいた。
「あっ、もしかして・・・いやずいぶんお若い」僕はあわてて立ち上がりコップを落としそうになる。
「始めまして・・いや、始めましてじゃないよね」微笑む彼女がまぶしい。
「あっ、はい・・その~始めまして・・・」なんだか照れてしどろもどろだ。
彼女は差し向かいの椅子に座るとニコニコして僕を見つめ続ける。
「いや~~、そんなに見られたら恥ずかしい・・・」
「写真とおんなじなんですね。すぐ、わかっちゃった」
「僕は思ってた以上に美人だったんでわからなかった」
「まあ、口先はうまいのね」
「いや、ほんと大きな娘がいるとは思えない」
「よかった。今日の為に念入りに化粧してきたんですもの。これでばばあとか言われたらブッ飛ばして帰るとこだったわ」
気さくな彼女はネットの中のままの雰囲気だった。それからシャンパンを注文して乾杯した。
「なんに乾杯しようか。出会いに乾杯?」僕は聞いた。
「もちろん銀河のロマンスでしょ、今夜は」彼女がいたずらっぽく言う。
「じゃ、織姫と彦星に乾杯!」
「乾杯!」
小さく触れ合うように僕らはグラスを先にキスさせた。

なにもない、なにかがあるかもしれない・・・。期待と不安が交差して心臓がどきどきする。ただ会う約束だけなのに、すでに恋心を抱いた少年のように落ち着きがなくなる。ロマンスは男と女の心ときめく物語。どうシナリオを勧めていくかお互いわからない。
彼女の言葉に反応して笑顔で返し、僕の言葉に反応して彼女も笑顔で返答する。言葉のキャッチボールは投げられるたびに、より二人の親密度が増してゆく。