【無幻真天楼 第二部・第一回・参】そして僕にできること
神社の屋根の上には人形になった阿分が背中を合わせて座っていた
「わかんねぇある…」
「我もある…」
「我らが知らねぇことたくさんあるある…」
「ありすぎある…」
阿と分が交互に言うとため息をつく
「沙汰様じゃなく乾闥婆あるか…」
「制多迦たちは敵じゃねぇあるか…」
「わかんねぇある…」
阿分がぷぅっと頬を膨らませた
「でも制多迦我らの頭撫でてきたある…」
「矜羯羅も我らを迎えに来たある…」
阿分の尻尾が風になびく
「なんだか…おいていかれた気分ある…」
「我もある…」
分が膝を抱えた
「居場所…矜羯羅はあるっていったあるが…」
「居場所がわかんねぇある…」
阿も膝を抱えた
「我らこれからどうすればいいあるか…」
「わかんねぇある…」
抱えた膝に頭を着けた阿分
それからしばらく二人とも何も話さなかった
作品名:【無幻真天楼 第二部・第一回・参】そして僕にできること 作家名:島原あゆむ