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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・参】そして僕にできること

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「どこいったんだっちゃ…って矜羯羅寝てないと駄目だっちゃっ;」
布団を剥いで起き上がろうとしている矜羯羅を緊那羅が止める
「制多迦なら私が探すっちゃ;だから矜羯羅はおとなしく寝ててくれっちゃっ;」
「大丈夫だよ…僕は」
「人の言うことは聞けっちゃっ!!」
緊那羅が矜羯羅の肩を布団に押し付けて強引に布団をかけた
「起きてきたら御飯抜きだっちゃ!!」
「…緊那羅…強くなったね…」
ビシッと指を突きつけて強く言った緊那羅に矜羯羅が小さく言う
「わかったっちゃっ!?」
「…」
矜羯羅がため息をついた
「返事っ!!」
「…はい」
矜羯羅の返事を聞いた緊那羅が頷き空になったカップを持って歩き出す
「後からお粥作ってくるっちゃ」
襖を開けた緊那羅が笑顔で振り向き言うと襖を閉めた
遠ざかる緊那羅の足音が聞こえなくなる
「……」
ゆっくり目を閉じた矜羯羅がまたゆっくり目を開けた
そしてククッと笑う

緊那羅に言い負けた
【天】の宝珠持ちで一番弱いであろう緊那羅に【空】では上級の自分が言い負けた
【向こう】では絶対ありえないこと
「…面白い…ね」
矜羯羅が呟く
【こっち】では【向こう】の常識は通じない
階級も力も何もかもが【無】い
対等に接してくれる
敬語なんか使わない
でも不思議と嫌ではなく逆に嬉しいと感じる
【矜羯羅様】ではなく【矜羯羅】として接してくれる
それが嬉しいのかもしれない
今まで対等だったのは【制多迦】だけだった
いつも一緒にいて
いつも隣にいて
それが当たり前で…
「制多迦…」
そこまで頭で考えてからふと考えが止まった
自分は【対等】だって思ってたけど制多迦はどうだったのか
今まで考えもしなかった考えが矜羯羅の頭を横切った
前なら制多迦が幸せなら自分はどうでもいいなんて思いだったのに
制多迦が自分をどう思っているかなんかどうでもよかったのに
どうして今更こんなことを考えてしまうのか
「…僕は…変わった…のかな…」
体が熱い
矜羯羅がきゅっと唇を噛んだ