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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・参】そして僕にできること

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夕飯の匂いが家の中に広がる
いつもならその匂いを嗅ぎ付けて一番に茶の間にやってくる矜羯羅は和室で静かな寝息をたてていた
その矜羯羅に添って寝そべった制多迦が足をパタパタと動かす
布団から出された矜羯羅の手は制多迦の手を握っていた
「…んがらの手…あったかい」
制多迦が矜羯羅の手を握り返す
「…ったかいから生きてるんだよね矜羯羅…」
ヘラリ笑った制多迦が畳に頭をつけると目を閉じた


「京助、これ持っていって」
「へいへい」
「返事は一回っ! !あ、ついでにテーブル拭いてきてちょうだいね」
母ハルミがおかずの乗ったお盆の隅にふきんを乗せて京助に手渡した
「私これ持っていくっちゃね」
緊那羅が炊飯ジャーを持ち上げる
「あ俺がそっち持つ」
「え?」
京助がお盆を置いて炊飯ジャーを緊那羅から取った
「そっちのが軽いだろ」
「あ…うん…」
京助が炊飯ジャーを持って茶の間に向かう
その後をお盆を持った緊那羅が追いかけていくのを母ハルミが微笑みながら見送った
「おっもうそんな時間か」
「手伝えよ; ってか阿修羅来てたんか」
京助が茶の間を開けると竜之助と阿修羅が京助を見た
「よー京助」
阿修羅が笑いながら手を上げた
「どうしたんだっちゃ? 京助」
「よっすさっきはどうもさん緊那羅」
後から来た緊那羅が戸口で止まっていた京助に声をかけると阿修羅が緊那羅に声をかけた
「晩飯時に邪魔してすまんきにな。すぐ帰るかんに」
「なんだ食っていけばいいのに」
立ち上がった阿修羅に竜之助が言う
「今も言ったように上がああなっちまったからな…しかも空も…何かとバタバタしとんきに」
「…そんなバタバタしてんのにと…うさんは行かなくていいのかよ」
阿修羅が言うと京助が竜之助に聞いた
「俺か? 俺は俺ができることしてるぞ」
「まっ…あっちの…天と空のことはオライらがなんとかするしの。天より空のがやばいんきに…タカちゃんとがらっちょがいないからな」
首を鳴らした阿修羅
「任せたぞ阿修羅」
「へいよ」
竜之助の言葉に笑って返事した阿修羅がすうっと消えた
「…何話してたんだよ」
京助が炊飯ジャーを置くと竜之助に聞く
「まぁ色々だ」
緊那羅もお盆をテーブルに置きふきんでテーブルを拭きながら竜之助を見た
「それにしても京助。背中のそれはなんだ? 今流行ってるのか?」
京助と緊那羅が顔を見合わせると緊那羅が苦笑いをして京助がため息をついた
「阿分だよな? それ」
京助の背中を指差した竜之助
「大正解…;」
ぼそっと言った京助の背中には阿分がしがみつきながら器用に寝ている
「ハッハッハ似合うぞ」
「うるへい;」
「はははっ;」
緊那羅が京助と竜之助のやり取りをみて苦笑いをした