【無幻真天楼 第二部・第一回・参】そして僕にできること
「居場所かぁ…ぶっちゃけ俺の居場所ってのもわからんのよなー…」
歩きながら京助が言う
「京助も居場所わからねぇあるか…?」
京助に抱かれている阿が京助を見上げて聞いた
「おうよ」
「居場所なくて平気あるか…?」
「居場所ねぇっていうか…なんつーか…居場所なんざ自分で作るっつーか…居たいと思ったらそこが居場所でいいんじゃねぇかなーと」
京助が分を振り返った
「だからここっていう居場所はわかんねぇけど居たい場所はわかるぞ」
「居たい…場所…」
「ねぇのか?」
分が足を止めてうつむいた
しばしの沈黙の後分の肩が小さく震え出す
「…おい?;」
「わ…我…ここにいたいある…」
うつむいたまま言った分の声も震えていた
「よかったじゃん」
「え…?」
顔上げた分に京助が
「居場所見つかったな」
ニッと笑って言うと途端分の顔が歪んで地面を蹴って京助に抱きついた
「がはっ!!;」
抱きつかれて京助が後ろに倒れる
「…せめてケモノ化してからにしてほしかったんですが;」
制服を掴んで嗚咽をあげる分の頭をポンポン叩きながら京助が空を見上げると白い雲がゆっくりと流れていった
作品名:【無幻真天楼 第二部・第一回・参】そして僕にできること 作家名:島原あゆむ