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最後の孤島 第1話 『不思議な島』

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 バザールを後にしたオレたちは、長老の元へ行った。長老の家は木の上にあり、比奈を落ちないように支えながら、アバウトに手作りされたハシゴで登る。
 長老は、去年100歳になったそうだが、まだまだ元気そうだ。東南アジア系らしい彼は、浅黒い顔と肌をしており、年季が入った外見をしている。



「おまえさん、ダニエルからこの島について詳しく聞いたかね?」
互いの自己紹介が済むと、長老は比奈に優しい口調で尋ねた。
 オレは思わず、「あっ!」と声を漏らす。うかつなことに、彼女にちゃんと説明するのを忘れていたのだ……。

「では、ワシが説明してしんぜよう!」
長老はそう言うと、大きく咳払いをする。これは長話になりそうだと、オレは予想した……。オレの口から先に話しておけば良かったと、後悔することになりそうだ……。



 ――見事、予想は的中してしまった。終わったときには、太陽がもう高く昇っていた……。



 長老の説明は、要約すると、『セルカーク島』という名前のこの島は強力な魔力で覆われており、船や人などが流れついたり、航空機が墜落してきたりするという話や、この島から出ることは不可能だという残酷な話をした。キチガイの妄言にしか聞こえない話だが、比奈は最後まで聞いていた。
 長老の話を聞いた比奈は、信じられないという様子だったが、オレが事実だと告げるとようやく信じたようだ。

 それでも彼女は、この島から脱出する方法が無いのかを長老に尋ねた。この島に来た人間の誰もがする質問だ。

「無い!」
長老はキッパリ言った。
「そんな!!!」
彼女は泣きだしそうになった。オレは慰め役に回る。

「こんなところより、もっといい所に連れて行ってあげるよ!」
オレは彼女を慰めようとそう言ったのだが、すぐに自分が、長老に対して失礼なことを言ってしまったことに気づいた……。だが、時すでに遅し……。
「こんなところとはなんじゃ!!!」
こんなところに住んでいる長老が怒鳴る……。

 オレは比奈の手をつかむと、急いで長老の家を出る。ハシゴから落ちそうになったが、地面になんとか降り立った。
 木の上の家からは、長老の怒鳴り声がまだ聞こえてくる……。こんなに元気なら、当分は長生きしそうだ。

 とりあえずオレは、比奈を神殿へ連れて行くことにした。あそこなら静かだし、彼女の気分が落ち着くことだろう。