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最後の孤島 第1話 『不思議な島』

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【ダニエル・クルーソー】(2)



 倉野比奈という名前の彼女は、オレの横を歩いている。まるでデートのようで、オレは嬉しくなった。なにせ、同い年の女の子とデートするなんて、生まれて初めてのことなのだ!!!

 オレがこの島に来たのは、約3年前のことだ。10歳の誕生祝いとして、今は我が家の豪華客船に家族とともに乗り、世界一周旅行へ出かけた。
 そして、その旅路で船が遭難し、この島に流れついたのだ。

 それはさておき、オレは今、比奈を島のバザールで案内している。バザールはいつものように活気づいており、比奈はいくらか元気を取り戻せたようだ。やはり女の子は、笑顔が1番!
「これ、私のカバン」
店を見て回っていると、比奈が突然そう言って指をさした。
 彼女の指の先には、薄茶色の肩掛けカバンが置いてある。カバンの見た目や付いているキーホルダーから、少女物であることがわかった。中身はそのままになっていて、彼女のパスポートもあった。
 そのカバンが彼女の物であることは間違いないようだ。

「私のカバンなんです! 返してください!」
比奈は当然のセリフを店主に言った。
「悪いけど、サンゴ礁10キロと交換ならいいよ」
店主はそう答える。ちなみに、この店主の名前はバイロンで、根はいい人なのだが、商売一筋の人間だ……。ちなみに、サンゴ礁はセメントの原料として使われる。

 この島のバザールには、無料の商品と物々交換の商品がある。生活必需品は無料だが、それ以外の物は物々交換である場合が多い。彼女のカバンの場合は、物々交換での取り扱いというわけだ。
 そもそも、この島では通貨が通用しないので、お金を巡る争いは、まず起きない。

「これは私の物なのに!!!」
比奈は悔しそうに言った。カバンは良さそうな物だから、サンゴ礁を集めている間に、他人が買っていく可能性が高い。
「なあ、バイロン。彼女はついこのあいだ、この島に流れついたばかりで、このカバンは彼女の物なんだ」
オレは、同情を誘った。なにせ、男としてのメンツがかかっているのだ。

「じゃあ、後払いでいいよ。嬢ちゃん、持っていきな」
少し考えた後に、バイロンはそう言ってくれた。オレのメンツは保たれたわけだ。

「あ…ありがとうございます!」
比奈はバイロンに、一応礼を言った。
「おう! サンゴ礁10キロはいつでもいいからな! サンゴ礁10キロはな!」
笑顔のバイロンは、元々の交換条件の物を2度連呼した後、他の客の応対を始めた。