雨の日に彼女達へ本をあげる
二人目はその日、誕生日を迎える女性だった。
1ヶ月前の事だった。バーで一緒に深夜まで飲んでた時
僕は何かの拍子で彼女の誕生日を知ることとなった。
黒いスケジュール帳の一番最後のページに日付だけを書いて忘れていた。
昨夜、何気なくスケジュール帳の裏表紙をめくると彼女の誕生日に気がついた。
あれ、この日付・・・明日じゃないか
ああ、あの時彼女に聞いたんだ。誕生日を。
そうか明日か・・・僕はすぐさま電話を入れた。
「もしもし、久しぶり。明日、誕生日だね」
「あら、覚えててくれたの?」彼女は明るい声で答えた。
「もちろん・・・明日パーティーかなんかするの?」
「うん、あなたも来る?」
「行かせてもらえるなら・・・来てもいいの?」
「あら、ずいぶん遠慮深いのね」
「彼氏とデートじゃないの?」僕はわざと探りを入れてみた。
「いない、いない。もう何年も居ないんだから・・・」
「じゃ、僕が1日彼氏になろう」
「まあ、嬉しい。それじゃゴージャスなプレゼントもらわなきゃね」
「それは期待しないで欲しいな」
「じゃ、いつものバーでだからわかるよね」
「わかった、何時?」
「8時ごろからみたい」
「みたい?」
「そう、いろいろ集まってくれるそうよ」
「ふ~ん・・・・」
「じゃ・・・」
「ああ・・・」
僕は他に誰が来るのだろうか想像した。たぶん・・・・
さして気にするメンバーじゃないし、僕は何をあげようか考えた。
考えもまとまらないまま、僕は眠ってしまった。
作品名:雨の日に彼女達へ本をあげる 作家名:海野ごはん