小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

雨の日に彼女達へ本をあげる

INDEX|3ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 


「わぁ、ありがとう。じゃ帰りの電車の中で読みます」

彼女は表紙をめくり、目次に目を通した。そして

「男のセックスは強くなくてはならない・・・・」と声を出して読んだ。

「そうなんですか?」といって僕の方に笑いながら聞いた。

僕はドキリとした。

「強い方がいいんじゃないですか・・・・?」

彼女は下を向いてクスリと笑った。

「強いんですか?」

「ためしてみます・・・?」

また、彼女は下を向いて笑った。

   

   

「感想は、今度どっかまた偶然会ったときでいいですから」

「じゃ、またどっかで偶然会いたいですね」

彼女の眉間からしわはなくなり、普通のきれいな美人に戻っていた。

雨は少し小降りになっていた。

彼女は本を黒いバッグの中に入れると、僕に向かって言った。

「疲れて見えます?」

「いいや、もう、全然。行ってらっしゃい」

彼女はニコリとすると、人通りのある街へと歩き出した。

僕は、まだ雨の降る広場の空を見上げた。

そして、まだ彼女の余韻の残るその場を立ち去ろうとしないでいた。



その日の夕方、僕はまた違う女性に本をあげることになった。

1日に2度も女性に本をあげるなんて、人生始まって以来だ。