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夏の掌編

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図書館の魔法使い



小学三年生の夏休みのある日、ぼくは、いつの間にかひとりぼっちになってしまった。
いつもあそんでいるヒロくんも、エイちゃんもお父さんと車に乗っていなかへ行ってしまった。

今日は朝からゲームをしながらゴロゴロしていたが、もうあきてしまった。お母さんにそういうと「それじゃあ、図書館に行ってごらん、ゲームの中に出てくるような魔法使いがいっぱいいるよ」と笑いながらいった。

ぼくは、図書館には、魔法使いの本がいっぱいあるのか、その中にいる人たちが魔法を使うのかよくわからなかったが、「どうせひまなんだしなぁ」とひとりごとをいいながら、出かけようとした。お母さんは「あっ、ちょっとまって、ゆうたが魔法をかけられたら、それをふせぐ本を持って行きなさいといって、ぼくの部屋からノートを持ってきた。
「えーっ、勉強をしにいくの」といったら、
「魔法をおぼえにいくんでしょう」とまじめな顔をしていうので、ぼくは何もいわずそれを受け取って図書館にむかった。

図書館の中に入ると、うるさい車の音もベトベトする暑さもなくて、涼しく静かだった。ぼくはなかをずうっと見渡した。魔法使いって、どこにいるのだろう。
ぼくはそうっと足音をたてず中に入った。
入って正面の部屋には新聞や雑誌がいっぱいおいてあって、ソファーに座って新聞を見ているおじさんと、雑誌を見ている髪の長いおばさんがいるが、魔法使いには見えなかった。ぼくがさらにそうっと近づくと、そのおばさんが、急に横を向いてぼくを見た。

その目は恐怖で見開かれ、口をポカンとあけ「あう、あう」言っていたので、ぼくのほうがビックリしてさらにオバさんの顔も、ものすごくこわくてしりもちをついてしまった。
倒れる時にぼくの頭が、おじさんの見ていた新聞を破ってしまった。おじさんも急に新聞が真っ二つになってしまって、「ワーッ」といって大きな声をあげた。

おばさんは見ていた週刊誌をブンブンふりながら、ぼくを指さしながら「ざしきわらしー、ざしきわらしー」といって叫んでいる。あんなに静かだった図書館が、大騒ぎになってしまった。図書館のお姉さんが、とんできて「どうしたんですか、何があったんですか」とおばさんに聞いている。おばさんはやっと落ちついて、ぼくと自分の手に握った週刊誌をみながら、「あのぉ、このお化け特集記事の中のざしきわらしの所を読んでいる時に、気配を感じてー、ふっと横を見るとあの子の顔がアップでー、アーッ、ビックリした」と言っている。おじさんはいつの間にか逃げてどこにもいなかった。

ぼくは何が何だかわからず、頭の中が魔法使い、魔法使いとくり返していた。ぼくをおどかした「魔法使いおばさん」は、ぼくをにくらしそうにみているので、ぼくは本棚がいっぱいの部屋に入った。
作品名:夏の掌編 作家名:伊達梁川