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でんでろ3
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ドラキュラ・ダイス

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4.チュートリアル


キューブ>じゃあ、始めよう
まるみ>えっと、質問して良いんですよね?
へいほー>おっ、積極的―!
まるみ>いや、それほどの、質問じゃなくてですね。ここでする会話って、牧師とか、村娘とかに、なり切るんでしょうか?
腑腐婦>いや、普通に駄弁(だべ)るだけだよ。あとは簡単な質問をしたりする。
へいほー>あとは、命題を述べても良い。こんな風に、「この中に1人、妹がいる!」
糖ラス>また、あんたは、のっけから……。
紺>いい加減にしなさいよ。
まるみ>……どうしたんですか?
キューブ>ドラキュラ・ダイスでは、序盤に嘘をつける者はいないんだ。
トライ>僕のドラキュラがまだできていないのが明白で、嘘をついて良いのはオリジナルのドラキュラただ1人の状況で嘘をついてしまったら、「私がオリジナルのドラキュラです」と言っているのと同じだからね。
腑腐婦>なのに、あの、へいほーのふざけた発言。どうみる?
まるみ>あ、ちょっと待ってください。妹といっても、へいほーさんの妹とは言ってませんよ。
キューブ>そうすると今度は1人で済むだろうかという問題が出てくる。1人だったとしても、どうやって確認する?
まるみ>いや、ネット上の遊びで、そこまで求めなくても……。
トライ>僕らが求めなくても、へいほーが求めてしまうんだ。彼が「命題」と言ったときは妥協しない。
糖ラス>つまり、本当に、妹がいるってことか?
紺>そのようだ。
糖ラス>一見、メンバーには女性は2人。
紺>でも、何があるか、わからないのがネット社会。
糖ラス>ネカマならぬネナベなんつうものもいるようで。
紺>ネット上で男のふりをしてる女ですな。
糖ラス>そう、あるいは君かもしれない。
紺>ああ、あるいは僕かもしれない。
腑腐婦>ああーーーーっ! 鬱陶しいっ! あんな馬鹿の言うこといちいち取り合うことないでしょ?
まるみ>えっ!? だって、嘘だったら、へいほーさんがオリジナルのドラキュラなんでしょう?
腑腐婦>そ、そう、だけど……。
まるみ>ひょっとしって、へいほーさんの妹って、腑腐婦さん?
腑腐婦>いや、そんな、バカなこと、あるわけ……。


腑腐婦>じゃあ、何か証拠を見せなさいよ。
糖ラス>いや、証拠見せろって言ったって、これチャットだし……。
キューブ>Webカメラすらないのにどうやって……。
紺>糖山桜も蒼井のご紋も見せられないよ。
糖ラス>遠山桜だろっ。糖山桜って何かっ? 金平糖でも咲いてるのか?
紺>スマン。スマン。
トライ>それに、蒼井のご紋って、蒼井優の何かか?
腑腐婦>そんなこたぁ、どうだっていいのよ! へいほーが私の兄だというなら、しょうこをみせなさいってのっ!
へいほー>それなんだけど……。
腑腐婦>何っ!
へいほー>俺は別に、あんたの兄を名乗り出ちゃいないんだが。
腑腐婦>えっ?
へいほー>言いだしっぺは、まるみちゃんだよ。
キューブ>それも、何気ない、超当てずっぽうな一言だったよ。
トライ>何をそんなに熱くなってるの?
まるみ>ひょっとして、触れてはいけない過去だったらごめんなさい。
腑腐婦>……。実はね、私には、幼いころに生き別れになった兄さんがいるの。とても大好きな兄さんだったけど、今どこいるかということはおろか、今生きているかということすらわからないの。
へいほー>大丈夫だ。兄さんは今も元気で生きている。そして、大切な妹を、今も、近くで見守っている。
腑腐婦>まさか。そんな、……まさか。
へいほー>飼っていたモルモットの名前はモルルちゃん。秘密基地は神社の縁の下。宝物は僕の学習机の一番下の引き出しを抜いた下。
腑腐婦>ほ、本当に、兄さんなの?
キューブ>はいっ、番茶はそれまで。
トライ>茶番だろ。
キューブ>初めてのドラキュラ・ダイスで、いきなりオリジナルのドラキュラになって、3人も僕にしたのは、なかなか大した度胸だけど、人選を誤ったね。紺さんもふざけるけど、腑腐婦さんとへいほーさんは仲が悪いようで、2人が組むと超悪ノリするんだ。
トライ>分かっている人は、まずこの2人を序盤で同時に僕にはしない。というわけで、君の負けだ。まるみちゃん。君がオリジナルのドラキュラだね。


まるみ>えーん。くやしぃー! なんで分かったの? って、人選が悪かったんですよね。えー? でもでも、腑腐婦さんとへいほーさんって仲悪いんじゃなかったんですか?
紺>ケンカするほど仲が良い。
糖ラス>って言うのとも違うんだよね。何というか。そういう時だけ、すべての垣根が取っ払われて、紳士協定発動みたいな感じ……というか。
紺>そういう時のシンクロ率は半端ないね。息ぴったり。アドリブ、バンバン。
キューブ>でも、さっきも言ったけど、初めてのドラキュラ・ダイスでオリジナルのドラキュラ引き当てて、だれの助けも借りずに、3人も僕にしたんだから、上出来だと思うぞ。
トライ>じゃあ、まぁ、もう1勝負、行きますか?
まるみ>はい、ぜひ。

こうして、再び、ドラキュラ・ダイスがふられ、配役が決定した。
作品名:ドラキュラ・ダイス 作家名:でんでろ3