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エイユウの話 ~春~

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「・・・世話焼きババァ」
「違うわよ!」
 二人は無言のまま、色気も何もない睨み合いを続ける。喧嘩腰のままのため、結構近い距離に互いの顔があった。にもかかわらず、本当にちっとも色気も何も感じられないのが切ない。沈黙の中、先に口を開いたのはキサカだった。
「で、お前は何がしたいんだ?」
 鈍いキサカに、今度は彼女がため息をつく。キースとアウリーが話している席を見てから、さも当然という顔でキサカに視線を戻した。
「手伝いよ。アウリーとキースをくっつけるの」
 なんでもない、ただのおせっかいなセリフ。しかしその何も知らないラジィの言葉に、キースの気持ちを知るキサカはカチンと来た。思わず声を張り上げてしまった。
「あいつの気持ちはどうすんだよ!」
作品名:エイユウの話 ~春~ 作家名:神田 諷