エイユウの話 ~春~
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いつの間にか私は、彼の観察が日常になっていました。
彼に足りない知識はありません。術師に必要な全ての知識を彼は持っています。驚くことに、それは彼の専攻魔術に限らず、その他の魔術にまで及んでいました。授業中に、他の生徒たちが答えられないいかなる問題も、彼は友人と喋るかのように滑らかに答えて見せるのです。
私は彼の実力に改めて目を丸くしました。座学で彼に足りないものは何一つ無いのだと、感心と共に尊敬の念を抱いてしまいました。
―――――――『黄金の術師(ジャーム・エワ・トゥーロル)』 第一章第一部より抜粋
作品名:エイユウの話 ~春~ 作家名:神田 諷