小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ツイン’ズ

INDEX|27ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

12_可学狂師


 セイシュンまっ逆さまのみんな! 今週の見所をばっちり紹介していくぜ! てか今週ってなんだよ!?
 世界征服をしちゃっおうと思ってる俺’は今はうちで家族団らんしてるのか? してないのか?
 そんなことは置いといて――。俺に銃口を向ける玉藻先生、『直樹くん、美味しく料理してアゲルわよぉん』……これって、まさに絶体絶命って感じ?
 このままでは世界は、むしろ俺の人生は、どうなってしまうのかぁ〜っ!?
 第12話『可学狂師』、可学狂師大暴れで世界崩壊。コレ、テストに出すからメモっとけ。
 ――なんてことが頭を過ぎってしまった。
 だって、こんな銃でどうしろってんだ?
「先生ここは示談でどうにかならないでしょうか? 例えば、学校近くにある美味しいって有名なケーキ屋さんで先生が気が済むまでおごりますから」
「あらん、お店を買ってくれるならいいわよぉん」
「それは無理」
「そんなことはわかってるわ。でもこの状況はまさに一色触発。背中を合わせて5歩歩きバン! っていうのはどうかしらん?」
「映画とかでガンマンがよくやってるやつですね」
「じゃあ始めましょうか」
 俺と玉藻先生は背中を合わせた。
「じゃあ数えるわよ」
 やばいぞ。どうする俺が先に撃っても負けじゃないかこの勝負?
「1、2、直樹の負けよぉん」
 玉藻先生はズルをして突然後ろを振り返り俺に銃を向けようとしたに違いない。だが、そんなことだと思ってた俺はとっくに勝負を放棄して安全な場所に逃げていた。
「先生の負けです」
 俺は取り合えず銃の引き金を引いた。ビーム光線が玉藻先生に直撃し先生は倒れた。
 ……普通の人に撃ったらどうなるんだ? まさか死んじゃったとか?
 先生に駆け寄り脈を計る。脈拍正常、呼吸正常、問題なし! だと思う。きっぱり言うが俺は医者じゃないから断言はできない。
 とりあえずどうする? まさに自問自答。自分の道は自分で切り開け!
 ……普通に考えて運ぶか。
「よいしょっと……うあっ!」
 バタン! と俺は腹から倒れ潰れた。……玉藻先生ってこんなに重いのか?
「どう考えてもありえない重さだ」
 玉藻先生を仰向けに寝かせると白衣のポケットを調べた。――財布・手帳・ドライヤー・スプーン・扇風機・石油ストーブetc.etc.……なんじゃこりゃ!?
 白衣に入るはずの無い物が出てくる出てくる。玉藻先生って四次元ポケットも発明していたのか!? とりあえず戻しとこ。
「ううん……あん……」
「先生!?」
「ああん……もう朝かしらん?」
「夕方です」
「あらん、夕食の準備しなくちゃね。直樹も食べてく?」
「……先生だいじょぶなんスか?」
 やった俺が相手の心配するのも変だが、だいじょぶなのか?
「直樹さっき私に撃った銃は何のかしら?」
「明日のなんたら銃でおかしくなった愛を治すための銃ですけど」
「なるほどね……それでわたしも治ったわけねぇん」
「はい?」
「わたしもナオキちゃんにあの銃で撃たれてたのよねぇん」
 つまり、そーゆーことだったのか。なんとなく納得だな。
「正常に戻られた玉藻先生にお願いがあるのですが」
「何かしら?」
「もうひとりの俺が変になったのは明らかに先生のせいですよね? 戻してください」
「わたしのせいなのかしらん……それも一理あるかもしれないわねぇん。わたしがクスリを飲ませたあとナオキちゃんは変になったような。つまりわたしのせいなのかしら?」
「クスリってなんですか?」
「つまり、あれがこうなって、そうなって、あれとあれが結合したわけね。納得だわ」
「ひとりで納得しないでください」
「行くわよ」
「はっ!?」
「着いてきなさい」
 玉藻先生は立ち上がるといつものモデル歩きで軽やかに歩いていってしまった。四次元ポケットの秘密を知った今ではなんであんなに普通に歩けるのかが不思議でしかたない。あれが可学の力なのか?
 さっさと歩いていてしまう玉藻先生のあとをついて行くとそこには、空を飛びそうな物体が……。
「これって飛行機とかですか?」
「ステルス戦闘機をわたしが改造して作ったステルス戦闘機改Ver.1.00よ」
「ステルスですか!?」
「従来のステルスとは動力源が根本的に違って熱を全く出さないし、空気の流れにも一切影響を出さないわ。つまりこの戦闘機を確認できるのは肉眼だけってことね」
 この戦闘機で何をしようとしていたのかはあえて聞かない。世の中には聞いてはいけないことばっかりだ。
「早く乗り込みなさい、私は前に乗るから直樹は後ろよぉん」
 無言で俺は戦闘機に乗り込んだ。……玉藻先生ってこれ操縦できるのか?
 エンジンがかけられたみたいだが無音だ。ホントにこれって飛ぶのか!?
《直樹聞こえる?》
 どっかに取り付けられてると思われるスピーカーから玉藻先生の声が聞こえた。
「ひとつだけ質問していいですか? 地下からどうやって、むしろ滑走路が見当たらないんですけど?」
《上に向かって滑走するわよぉん》
「はっ?」
 上を見上げると天井が左右に開かれ、四角い筒のような道が現れた。その先には微かだが小さな白い点が見える。外に違いない。ってまさか!?
「先生っ上に向かって滑走って!?」
《行くわぉん!!》
 戦闘機は壁に向かって走り出し、壁に当たる寸前にどういう操縦をしたのかはわからないが90度傾き壁を登り始めた。90度に助走する戦闘機なんて聞いたことないぞ!?
 四角い筒の中を走り抜け住宅街の真ん中から戦闘機が飛び立った。ありえない、住宅街から戦闘機が飛び出す光景なんて。
《ナオキちゃんがどこにいるか教えなさい》
「俺んちにいると思いますけど」
《そういうことは早く言いなさい》
 早く言いなさいって……どこだよここ!? 地面がないじゃん。海だよ海!
《思ったよりスピードが出るみたいねぇん》
「思ったよりもって、ここどこですか?」
《太平洋に決まってるじゃない。しかたないから世界1周するわよぉん》
 動力源が根本的に違うとかいうせいかどうだかしらないが、どんどん無音で加速していく戦闘機。そして、加速に加速を重ねた結果信じられない出来事が!?
「先生ここって?」 
《宇宙よ》
 暗い空間に光輝く星々と美しい惑星。宇宙の真理が俺たち待っている。……じゃなくって!
「見えばわかります。なんで戦闘機が宇宙に行けるんですか!?」
《普通は重力の関係で真っ直ぐ飛んでいるつもりでも丸い地球の上をグルグルと回るんだけど、どうやら重力を無視して本当に真っ直ぐ飛んだ見たいねぇん》
 なんでこんな人がうちの高校の先生なんかしてんだ? こんな簡単に宇宙に行けるなんて世界中の科学者が失業するぞ。てゆーか、宇宙に行くためには重力を突破するだけの力が必要でそれだけの力を一気に出すと人間なんてベチョって感じで……考えるな……これは可学の力だ。そう可学の力ね。
《直樹、緊急事態よ!》
「これ以上に何があるんスか?」
《異星人よ》
 異星人ね。はいはい、異星人ですね。普通じゃん異星人なんて、この状況、ここ最近のことを考えたら異星人なんて一番現実味があるじゃん。