小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ツイン’ズ

INDEX|26ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

 俺はへっぽこスーツを脱ぎ捨てると玄関に向かった。……このスーツを普通のものとして誰もツッこまないのもうちの家庭ならではだな。
 玄関のドアを開けると暖かい空気が外へ流れた。ふぁ〜あったけー、外寒かったからな。
 リビングに行くと俺’と遊羅はすでにくつろいでいた。俺もなんとなくソファーに座ってくつろぐ。そこに母親が暖かい紅茶を持って来て俺らに手渡す。
 念入りに息を吹きかけ冷まし一口飲む。はぁ〜v
 その時、ピンポ〜ンとチャイムが鳴り母がすぐに玄関へ小走りで向かって行った。誰が来たんだ?
 しばらくして戻って来た母親といっしょにいたのは、星川だった。
「先輩心配しましたよ。パラシュートが思ったより遠くに飛ばされてしまって……。あっこの人がもう一人の先輩ですか? やっぱり同じですね、制服着てなかったらどっちがどっちかわかりませんね」
 あのネットって玉藻先生のじゃなかったのか。
 ……そうだ、俺はこんなことしてる場合じゃない!
 自分のするべきこと思い出した俺は俺’に飛び掛った。
「何をする!?」
「逃げられたり、とんでもないことされたら困るからな。誰かこいつを縛る物を!」
 すぐに母親がロープを持ってきた。それを受け取り俺’の手足を縛る。
「ロープを解け」
「解くわけねぇだろ」
「あら、直樹少しきつく縛りすぎじゃないの?」
「どうしてお姉ちゃんのこと縛ったの?」
 今は二人には構わないことにしよう。それよりもこれからのことを考えなければ……。
「星川くん、俺と俺’を元に戻す方法とかわかる?」
「僕にはちょっと……でも玉藻先生ならどうにかしてくれるんじゃないでしょうか?」
「やっぱりあの先生に頼むしかないのか……おい俺’、玉藻先生の居場所はどこだ?」
「…………」
 口を閉ざし目線すら合わせない俺’。だが、星川が玉藻先生の居場所を知っていた。
「先輩、玉藻先生なら自宅にいますよ。今見上先輩と佐藤先輩が乗り込んでるハズですから」
「わかった。みんなはこいつを見張っててくれ。それから星川くん、俺たち双子って設定だから」
「わかりました」
 俺は残りの紅茶をぐぐっと飲むと家を飛び出した。

 外に出るとリムジンが止まっていて鏡花さんがいた。
「お乗りください。玉藻邸へ向かいます」
 俺は車の中へ乗り込んだ。どうして俺が玉藻邸に向かうこと知っているかについては深くは考えない。決して盗聴とか家の中に黒子とかが潜んでいたなんて考えたりはしない……考えない、考えない……。
 リムジンは信号に引っかからずに、しかも……車……人……すら……いないんですけど……巨大な圧力とかお金が動いているなんて考えない考えない……消されるからね。
 なんか早く着いたような気がするけど……きっと気がするだけさ。
 リムジンのドアが開かれ鏡花さんが俺を出迎える。夕焼けに照らせれる鏡花さんも素敵っス。
「お気をつけて」
「どうも」
 俺は鏡花さんに頭を下げると屋敷の中へと乗り込んだ。のは良かったんだけど……どこにいるんじゃー!! どこだ、どこにいる?
 って探すまでもなかった。玉藻先生が俺の横を駆け抜け、その後を美咲と宙が追いかける。
「直樹何してんの? 玉藻先生捕まえて!」
「……役立たず」
 役立たずはないだろ、俺だってがんばってんだ。
「……だったら早く追って」
 宙に言われ玉藻先生を追い書斎に入ったのだが……玉藻先生の姿が消えた。どこだ?
「ぁれが怪しぃ」
 宙はゆっくりと腕を挙げ本棚を指差した。
 宙が指差した本棚の前に立ったが、これがどうした?
「『世界電波論』って本がぁる」
「これがなんだ?」
『世界電波論』ってなんつー本だ。まさかただ読みたいだけってことじゃないよな。
「……引っ張ると入り口が現れるから」
 言われたとおり本を引っ張ると本棚が左右に開き隠しエレベーターが現れた。
「よし、二人とも行くぞ!」
「私はパス。あとは任せたから」
「アタシも今日はチカラを使い過ぎた」
 ……俺に一人で行けっていうのか? お前らなぁ〜。
「……だぃじょぶ……ちょっとィヤな予感は……するけど」
「ちょっとって……お前のちょっとはどのくらいだ?」
「直樹くんのちょっとが……このくらぃだったら……」
 宙は親指と人差し指で何か小さなモノを摘むようなポーズを取り、
「アタシのちょっとは……このくらぃ……」
 と言い両腕をめいいっぱい広げて見せた。
 なるほどよくわかった。わかったけど余計にわからない……この先になにが待ってるんだよ、不安になるだろ!
「何があるんだよこの先に……ホントに二人とも行かないわけ?」
「……ィヤな予感は……よく当たる」
 当たるなよ。
「私は今日突然両親が帰ってくるんのよ。だから家にいなきゃいけなくて」
 もう俺は何も言わない。一人で行くさ……。
「……がんばれ……直樹マン」
「言うな!」
「……何も言わなぃは……嘘……」
 俺は何かを言いそうになる前にさっさとエレベーターに乗り込んだ。
 エレベーターは下へと降りて……横にも動いてるぞ!? どこ行くんだこのエレベーターは?
 長いこと下や横へと動いたあとエレベーターは開かれた。
「待ってたわよぉん。でも直樹だったとはね」
「それを降ろしてもらえませんか?」
 さっすがは玉藻先生、逃げてるだけじゃないってことね。わっけわかんない機械チックな重そうな銃を俺に向けて構えちゃって……はははぁ〜。
「ジョーダンっスよね?」
「あらん、わたしは撃つわよ」
 俺は対抗すべく学ランの中に手を突っ込み銃を取り出し玉藻先生に銃口を向けた。
「これで形勢は五分と五分っスね」
「あらん、そんな物騒なモノ先生に向けるなんてイケないコねぇん」
 でもこの銃はハッタリなんだよな……。星川に愛を元に戻すために貰った銃なんだよね。たしか星川は愛以外には撃つなっていってたよな……。
 終わったな俺の人生――。