株式会社神宮司の小規模な事件簿
我らが代田嬢にちなむ怪異
夏である。
近頃の神宮司グループ本社内では怪談ブームが巻きおこっていた。
社員の誰もが誰かと顔を合わせればどちらともなく葬式について語りだし(「そもそも中世前期頃の葬送方法は色々種類があってだね、風葬、遺棄なんてのが一般的で土葬や火葬が可能だったのは天皇や公家、僧侶などの身分が高い人物だけだったのだよ云々。」)、誰かが弁当を忘れれば怪奇現象だと騒ぎだし、会議で課長に失言をかまし翌日注意されればそれは俺の姿に化けたタヌキの仕業だなどとしらを切り出す始末であった。
そんな会社であるにも関わらず皆割合優秀なところが一番の謎であった。
作品名:株式会社神宮司の小規模な事件簿 作家名:川口暁