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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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ガタガタと鳴る戸や窓
それにぶつかる雨は激しさを増していた
テレビ画面の上部に流れるのは気象情報
「暴風雨警報でちゃったわねぇ」
食器を並べながら母ハルミが言う
「雨凄いね」
慧喜に髪を拭いてもらいながら悠助がカーテンが閉まった窓を見た
「そろそろみんな呼ばないとだね」
母ハルミの手伝いをしていた烏倶婆迦が立ち上がると茶の間の戸が開いて制多迦と緊那羅が入ってきた
「あら緊ちゃん丁度いいところにおかず運ぶの手伝って?」
「あ はい」
入ってきたと思ったら緊那羅が小走りで台所に向かっていった
キョロキョロと茶の間を見渡す制多迦
「タカちゃんどうしたの?」
悠助が聞く
「…んがらは?」
「矜羯羅様ナリか? ここにはいないナリ」
慧光が答えた
「ご一緒じゃなかったんですか?」
慧喜が聞くと制多迦が頷いた
「飯なんだやなー」
「ハラヘリなんだやなー」
とたとたという足音と共にやってきたのはコマイヌの二匹
制多迦が二匹の前にしゃがんだ
「…んがら見なかった?」
「矜羯羅だやな?」
聞かれた二匹が顔を見合わせた
ザァザァと雨が降る
まるで何か怪物の鳴き声のような風の音