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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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「…い天気だね」
「いい天気すぎるよ」
枝に座った制多迦がへらり和やかに言うと矜羯羅がため息をつきながら返す
「…く晴れの日好きだから」
「そう」
頭にクロを乗せ制多迦が空を見た
ほや~んとした気の抜けたような空気が漂う
「…本当に制多迦…あるか?」
「矜羯羅が制多迦呼んでるある…みんなも制多迦呼んでたあるよ」
阿分のいる枝の右側の枝には矜羯羅
阿分のいる枝の左側の枝には制多迦とクロ
矜羯羅と制多迦を交互に見た阿分がボソボソと小さく会話する
「…制多迦に頭撫でられたある…」
「ぺくしょっ;」
制多迦が勢いよくくしゃみした
「…鼻水でてるよ」
「…へへ;」
ズッと鼻水を啜った制多迦
「…ゆるいある…」
「…ゆるゆるある…」
阿分が制多迦を見て呟く
「ねぇ」
矜羯羅が阿分に声をかけた
びくっとした阿分の尻尾がピンッとなった
「君たちさ…何怯えてるの?」
矜羯羅が聞く
「僕や制多迦に怯えてる感じはないんだけど」
静かな風が拭いた
「わっ…我らは何も怯えてねぇあるっ!!」
「本当に?」
「本当あるっ!!」
フーッとまるで猫のような威嚇をした阿分
ミシッと枝がしなったかと思うと
「…んまり虐めちゃ駄目だよ矜羯羅」
ぽふっと阿分の頭に手をおいたのは制多迦
「別に虐めてないけど?」
足を組み直し矜羯羅が言う
「…めんね?」
阿分の頭を撫でて制多迦が立ち上がると矜羯羅のいる枝に飛び移った
へらりと笑う制多迦を阿分がぽかんとした顔で見る
ため息をついた矜羯羅がひらりと地面へ降り制多迦もそれに続く
降りるときの振動で枝から葉が何枚かひらひらと落ちていった
「…また…撫でられたある…」
分が呟いた