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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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「…んがら?;」
羽衣に包んだ二人を抱きプルプル震えながら部屋に入ってきた矜羯羅を見た制多迦が駆け寄る
「持って…」
震えた声で言った矜羯羅から制多迦が二人を受け取った
制多迦に二人を渡した矜羯羅がへたりと座り込むと制多迦がしゃがんで背中を向けると矜羯羅がそれにおぶさる
「矜羯羅様…」
「これが制多迦…僕の相方…」
慧光に答えた矜羯羅がぐったりと制多迦の背中に体を預けた
「制多迦…様…」
慧光が制多迦の名前を口にすると制多迦が慧光を見てヘラリと笑う
「…つかれ様矜羯羅」
「…別に…」
矜羯羅が呟いた
「あのっ…私…」
柔らかい寝台に下ろされた慧光が矜羯羅をおろしていた制多迦の服を掴む
「私…っ…」
カチャリという音と共に慧光の頭を撫でたのは矜羯羅
「大丈夫…」
まだ少し震えている矜羯羅の手が慧光の頭を寝台へと倒す
すぐ側には寝息をたてる慧喜
「僕らがいるから…」
矜羯羅が羽衣を慧光と慧喜にかけ直す
優しい匂い
優しい声
慧光がゆっくり目を閉じた
頭にタオルを巻いた矜羯羅と並んで歩く制多迦
外ではまだ雨と風があらぶっている
「…く矜羯羅好きだよ」
「…そう」
ヘラリ笑った制多迦が言った
「…ふぁにひへふのは」
矜羯羅の両頬を軽く引っ張る制多迦の両頬を矜羯羅が強く引っ張り返す
頬を引っ張られてもヘラヘラ笑っている制多迦
「…しよし」
「…何」
今度は矜羯羅の頭を撫で始めた
矜羯羅の顔が歪む
「…んがらは優しすぎるから」
「優しくなんかない…僕は…」
「…んがら」
制多迦に呼ばれて矜羯羅が顔をあげた
目の前には微笑む制多迦
「…りがとう」
「何…」
いきなりありがとうと言ってきた制多迦に矜羯羅が少し驚く
「…んがらが矜羯羅でありがとう」
「…何いってるのさ」