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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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「傘とか意味なくない?」
ふわっと地面に降りた矜羯羅が半分濡れた制多迦に言う
「…つかれ様」
ぽふっと矜羯羅の頭に制多迦がタオルを置いた
「…今もらっても意味ないと思うんだけど」
ふわふわだったタオルは雨で濡れていた
「…ありがとう」
呆れながらもお礼を言った矜羯羅が歩き出すと制多迦も小走りで後を追いかける
「…だからそれ意味なくないって」
矜羯羅の上に傘をさした制多迦に矜羯羅が言った
玄関を開けると上がり口にはタオルが置かれていた
傘を立て掛けた制多迦がそのタオルを手にすると矜羯羅の頭から濡れたタオルを取った
そして乾いたふわふわのタオルで矜羯羅の頭を優しく拭き始める
矜羯羅が目を閉じた
「…ぜひくから矜羯羅、風呂入らないと」
「そうだね…」
制多迦の肩に矜羯羅が頭をつける
矜羯羅と制多迦にサンドイッチされる感じになった阿分が矜羯羅の服から顔を出した
「苦しいある」
ぷはっと息を吐いた分
阿ももぞもぞと矜羯羅の服の中から這い出した
そしてすとんと床に降りると矜羯羅を見上げる
鼻から上は制多迦の肩に隠れて見えない
キュッとつぐまれた唇だけが見える
ふと制多迦と目があった
微笑んだ制多迦が矜羯羅の背中に手を回す
「…らだ拭かないと風邪ひくから」
制多迦がそう言って上がり口にあるタオルを指差した
「…ぶんで拭ける?」
阿分が頷くと制多迦がヘラリ笑う
「…っしょ」
制多迦が矜羯羅を抱き上げると家に上がる
と…視線を感じて制多迦がやや下向きに振り返ると見上げていた阿分
ヘラリ笑いしゃがんだ制多迦が阿分の頭を撫でた
そして立ち上がると歩き出す
ポツポツと垂れている水滴はたぶん矜羯羅の髪か服が含んでいた雨
「…矜羯羅…どうしてあそこにきたあるか…?」
「…制多迦どうして我らを撫でたあるか…」
呟くように阿分が言った