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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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ザザザサァと葉が揺れる
強風で枝がしなる
そんな御神木の中間より少し上の枝に白と黒の毛の塊…もとい阿分は身を寄せあっていた
いつもはもふもふしている毛は容赦なく降る雨で濡れていた
「…何してるんだよ…」
ため息混じりの声に四つの耳がぴくんと立つ
風の鳴く音かと思ったのか顔はあげなかった
「探されてるよ君たち」
また聞こえた声に今度は顔をあげると白い布がバサバサとなびいている
少し視線を右にずらすとそこにいたのは足を組んで枝に座った矜羯羅
服や髪は阿分とおなじく雨で濡れていた
「何の用あるか」
「別に…ただ探されてるみたいだったから君たちが」
矜羯羅が濡れた前髪をかき上げる
「…我らの居場所ねぇある…」
阿がしゅんとして言った
「我らの居場所…ここしかねぇある」
分も同じようにしゅんとして言う
「ふぅん…そう…」
矜羯羅が足を組み直した
「だからここに…っ!?」
ふわっと阿分の体が持ち上げられた
「僕の話聞いてなかったの? …探されてるって言ったじゃない?」
羽衣を纏った矜羯羅が阿分を胸に抱いて言う
「探されてるってことは居場所…帰るところがちゃんとあるって事じゃないの?」
阿分が矜羯羅を見上げた
「…お前ら空なのに何で我らに構うあるか」
「さぁね…」
「ぷしゅっ!!」
阿がくしゃみをする
「…しょうがないね…」
ため息をついた矜羯羅が二匹を服の中に押し込んだ
「…あったかいある」
「そう」
「いい匂いするある…」
「…そう…」
直に感じる二匹の温もりを更に羽衣で包んだ矜羯羅が下を見ると傘を差してヘラリ笑顔で制多迦が見上げていた